7月2日(月曜日)に仕事から帰って8.5㎞ランニングした後、久々に腰痛に見舞われました。
火曜日と水曜日は日中も左腰が痛く、日常生活にも少々支障をきたすほどでした。
しかし幸い、単に脊柱起立筋のコリが原因だったので、自分でこまめにマッサージしてかなり改善。金曜日にはほとんど痛みを感じないまでに軽快しました。⇒必読記事「ランニング後の腰痛は、自分でマッサージして治す!」
日中、動いている時はほとんど痛みが無いのに、朝起きた時には痛みがあります。
「朝起きた時は腰が痛い…」という患者さんは多いですが、そもそも何故、朝起きた時だけ腰痛がでるのかについて考えてみました。
目次
そもそも腰痛の原因とは?
腰痛の原因はいろいろですが、基本的には次の二つに分けることができます。
腰椎の変形
一つ目が腰椎(ようつい=背骨の腰部分)の変形です。椎間板ヘルニア、腰椎スベリ症、脊柱管狭窄症、変形性腰椎症などと診断されるものです。
腰痛で病院を受診するとレントゲン写真を撮られますが、これは腰椎の変形によりその内にある脊髄や、そこから枝分かれしている脊髄神経が圧迫されていないかどうを調べるためです。
実は腰椎(ようつい)と頸椎(けいつい=背骨の首部分)は骨格の構造上、もろく歪みやすい場所です。
全身骨格をみてみると、腰は背骨の根本部分、首は頭の根本部分になります。
胸椎(きょうつい=背骨の胸部分)は肋骨と連結して胸郭(きょうかく)を構成しているので安定していますが、腰椎はこの胸郭から上の骨をすべて支えています。頸椎は重たい頭蓋骨を支えています。
細い棒の先に重たい物がくっついているようなものですね。(ただ、腰椎がかなり変形していても腰痛がない場合があります。腰痛のメカニズムについては今でも様々な議論が交わされています)
筋肉のコリ
腰椎や頸椎はその周囲を筋肉で囲まれています。これらの筋肉が疲労してコリ固まると、腰痛が悪化します。
筋肉がコルと何故、痛みが生じるのかについてはコチラの記事で完全理解しましょう。⇒必読記事「筋肉のコリを解剖生理学的に理解する」
腰椎の変形に比べ、筋肉のコリは明らかな腰痛の原因となります。
腰痛になった時に腰の筋肉をマッサージしてみると、キャっと痛い点があり、コリ固まっているのが自分でも確認できるでしょう。腰痛に見舞われたら、先ずは腰の筋肉をほぐすことを考えるのが妥当と云えるでしょう。
寝て起きた時に、腰が痛くなる原因は?
このように、一般的には腰痛は「腰椎の変形」と「筋肉のコリ」によって引き起こされると考えられています。(精神的な腰痛もありますがそれには触れません)
では、朝起きた時に腰が痛く、日中は痛みを感じないのは何故でしょうか?
寝ている間に腰椎が緩む
起きて活動していると、背骨には常に重力がかかっています。横になって長時間寝ると、背骨はこの重力から解放されます。
重力によって圧迫されていた背骨と背骨の間隔が開くので、その間にある椎間板が伸ばされ、痛みを感じると考えられます。
椎間版は背骨と背骨の間にあるクッションの役割を果たすものですね。
また、背骨と背骨は強靭な靭帯でも連結されていますが、その靭帯も引き伸ばされるので、痛みを感じると考えられます。
寝ている間に筋肉が固まる
寝ている間、寝返りする回数が少ないと、腰椎を支えている筋肉がコリ固まります。
筋肉は動くことによって伸縮して血行を促進している面があります。
寝ている間は体温も下がり、心拍数も減るので、それに伴い血液循環が悪化します。筋肉がコリ固まりやすい状態です。
寝相が悪く、寝具があっていない。
変な姿勢で寝てしまって「寝ちがえた」経験があるはずです。
寝相が悪いと、背骨にも筋肉にも負担がかかるので、起きた時に痛みが生じます。
また新しい枕に代えた時に首が痛くなるように、慣れていた姿勢が変わると、それまで使われていなかった筋肉が働き始めるので、筋肉痛になることがあります。
朝起きた時の腰痛を防ぐには??
朝起きた時の腰痛を防ぐには次のようなポイントに留意してください。
寝返りできる環境
眠っている間、長時間同じ姿勢が続くと、筋肉がコリ固まりやすいので、できるだけ寝返りできる環境を整えましょう。
身体の柔軟性を維持、向上させる。
身体が固いと寝返りの回数が減るといわれています。無意識にでも身体が動きやすいように、柔軟体操やストレッチで身体の柔軟性を維持向上させることが大切です。(腰に負担をかけないストレッチ&柔軟体操については別記事で詳しく解説予定)
筋肉の疲労を溜めない
疲労困憊でグッスリ眠ると寝返りも少なくなります。過度の疲労は禁物です。
筋肉を冷やさない
暑い季節でも、腰の筋肉だけは冷やさないようにした方がよいでしょう。腰の筋肉を冷えると血行が悪化しますし、筋肉も硬くなります。
朝起きての腰痛は仕方ないので、正しく対処しよう!
前日に激しい運動をしたり、いつもと違った活動をしたりすると、腰の筋肉にはどうしても疲労がたまります。
寝ると必ず腰椎は緩みますから、朝起きた時に腰が痛くなるのは、ある程度は仕方ないことなのです。
大切なことは、朝起きた時の腰痛に適切に対処することです。
意外と間違った対処をしている人が多いので、ここで正しい対処法を理解しましょう。
朝イチのストレッチは厳禁
目が醒めた時に、寝床で背伸びをして筋肉が引き攣った経験はありませんか?
これは、いきなり引き伸ばされることで筋肉がびっくりして反射的に縮むからです。
筋肉の伸長反射についてはコチラの書籍で詳しく理解できます。
朝イチは、背骨を支えている靭帯は緩んでいたり、筋肉の血行は悪化しています。その状態でグッとストレッチすると、その負荷に耐えられずに靭帯や筋肉を傷めることがあるので注意しましょう。
起床後、1時間は魔の時間帯
ギックリ腰になりやすいのは起床後の1時間以内です。
前述の通り、靭帯も筋肉もまだ温まっておらず、固い状態なので、顔を洗おうとチョッと中腰になっただけでギックリ腰になります。
セルフマッサージと手首足首体操が最も効果的
朝起きて腰が痛い場合、ストレッチではなく腰を軽く自分で押しましょう。引き伸ばすよりも、軽く筋肉を押す方が安全です。
その後はゆっくりと起き上がり、椅子に座って足首と手首を30秒ほど回してみて下さい。
末梢で滞っている血液や体液を循環させてから動き始めましょう。(非常に効果的な手首&足首運動については別記事で詳しく解説しますので乞うご期待!)
結局、大切なことは、朝はくれぐれも慎重に動くこと、時間に余裕をもって動くことですね。