先日、ランニングした後にジャンピング・スクワットをしてみたところ、翌日になって大腿部にかなりの筋肉痛が発生しました。
50㎏のバーベルを担いでスクワットしても筋肉痛にはならなかったにもかかわらずです。
そこで、ジャンピング・スクワットで、大腿部の筋肉にどのような負担がかかるのかについて考えてみました。
目次
ジャンピング・スクワットとは?
ジャンピング・スクワットとは、ジャンプしながら行うスクワットです。
自重で行う場合、手の位置によって負荷が変わりますが、基本的には両手を頭の後ろで組んだ状態で行うのが良いと思います。
バランスを保つのが難しいようなら、バービージャンプのように、両手を振り上げながら行ってもよいでしょう。
筋肉の収縮について完全理解しておきましょう。
ジャンピング・スクワットで大腿の筋肉(大腿四頭筋)が筋肉痛になりやすい理由を解説するまえに、まずは筋肉の収縮について理解しておきましょう。
理解しなければならないことは「筋肉は一方向にしか収縮しない」ということです。
求心性収縮(コンセントリック・コントラクション)
例えば両手に持ったバーベルを肘を曲げながら肩の高さまで持ち上げる「バーベル・カール」の場合。
この種目では、肘を曲げる主動筋である上腕二頭筋が収縮します。
このとき、上腕二頭筋は筋肉の中心方向に向かって力を発揮しますから、筋肉の長さは短縮します。
これが求心性収縮(コンセントリック・コントラクション)です。
等尺性収縮(アイソメトリック・コントラクション)
肘を90度に曲げた状態で、バーベルを持ち続けた場合。
このときも、上腕二頭筋は筋肉の中心方向に向かって収縮しています。
重力によって下に落ちようとするバーベルを動かさずに保持するわけですから、筋肉の長さは変わりません。
これが等尺性収縮(アイソメトリック・コントラクション)です。
遠心性収縮(エキセントリック・コントラクション)
では、肩の高さまで持ち上げたバーベルを肘を伸ばしながら、ゆっくりと下していくとき、上腕二頭筋はどのような収縮をしているのでしょうか?
このときも、上腕二頭筋は筋肉の中心方向に向かって力を発揮しています。
しかし筋肉の長さは伸びています。
これが遠心性収縮(エキセントリック・コントラクション)です。
このとき上腕二頭筋は、決して伸びる方向、つまり中心とは逆方向に力を発揮しているわけではないことを理解しておきましょう。
あくまでも、中心方向へ向かって収縮する力を、ジワジワとコントロールしながら緩めることによって、重力によって下に落ちようとするバーベルを下ろしているにすぎません。
紛らわしいのは、筋肉が伸びているにも関わらず「収縮」という言葉が使われていることです。
収縮という言葉は「縮む」という意味ですから、遠心性収縮という言葉はなんとなく矛盾しています。
それはさておき、忘れてはならないことは、遠心性収縮であっても「筋肉は常に短縮する方向に力を発揮している」ということです。
遠心性収縮で筋肉が損傷しやすい理由
もう一度、肩の高さまで持ち上げたバーベルを、肘を曲げながら下ろす動作を見てみましょう。
軽いバーベルなら、上腕二頭筋の収縮力をコントロールして、ゆっくりとバーベルを下ろすことができます。
これが安全な遠心性収縮です。
ところが、上腕二頭筋の収縮力を超えた重さのバーベルを下ろす場合はどうでしょう?
収縮した上腕二頭筋の筋繊維は、ブチブチッと引きちぎられるようになってしまいます。
これが危険な遠心性収縮です。
実際のトレーニングでは、頻繁にこの「危険な遠心性収縮」が起こり得ます。
上腕二頭筋の収縮力を超えた重さのバーベルを肘を曲げて肩の高さまで持ち上げることは、上腕二頭筋だけでは困難です。
ところが、腰を反らして勢いをつけると、重たいバーベルでも肩の高さまで持ち上げることができます。
そのバーベルを放り投げるように下ろすなら、筋肉が損傷することはないでしょう。
しかし、上腕二頭筋を使ってゆっくりとそのバーベルを下ろそうとすると、上腕二頭筋の筋繊維はブチブチを引きちぎられてしまいます。
勢いをつけて重たいバーベルを扱うことが、非常に危険だということが理解できると思います。
これが、遠心性収縮で筋肉が損傷しやすい理由なのです。
ジャンピング・スクワットで大腿四頭筋が損傷しやすい理由
実はジャンピング・スクワットでは、ジャンプして上に伸び上がった状態から、着地する過程において、大腿前面にある大腿四頭筋は、危険な遠心性収縮を強いられます。
宙に浮いた状態から、落下してくる全体重を、膝を曲げながら受け止めるわけですから、通常の自重スクワットよりも遥かに大きな負荷を大腿四頭筋は受け止めなければなりません。
私の場合は、50㎏のバーベル・スクワットを10回しても筋肉痛はでませんでしたが、20回連続して行うジャンピング・スクワットでは、翌日にヒドイ筋肉痛がでました。
筋肉痛が悪いわけではない
トレーニングした翌日や、翌々日に生じる筋肉痛が、一概に悪いというわけではありません。
ある意味、トレーニングでしっかりと筋肉に負荷をかけることができた証拠でもあります。
注意が必要なのは、筋肉痛だけでなく、関節の周囲にある腱や靭帯からも痛みが生じる場合です。
筋肉に比べて腱や靭帯ははるかに強靭な組織です。
その腱や靭帯の付着部が痛むということは、かなりの負荷がかかった証拠です。
トレーニングした後に、関節内部や関節のすぐ近くに痛みが残っている場合は、その痛みが消失するまで決してトレーニングしないようにしてください。
安全にジャンピング・スクワットを実施しよう!
私の場合は、ジャンピング・スクワットをした翌日に、久しぶりに大腿四頭筋にヒドイ筋肉痛が生じました。
しかし大腿四頭筋の付着部である、膝関節周囲にはまったく痛みはありませんでした。
つまり、健全な筋肉痛だったというわけですね。
実際、三日が経過した本日は、筋肉痛はほぼ消失しております。
ほぼ消失したとはいえ、完璧に痛みが無くなったわけではありませんから、次回ジャンピング・スクワットで鍛えるのは、前回のトレーニングから必ず1週間以上経過してからにします。
このように、筋肉痛が出たとしても、その筋肉痛が完全に消失した状態でトレーニングすることが大切ですね。