今回は、脚の筋トレの基本種目であるスクワットについて完全解説します。
スクワットは「立つ⇔しゃがむ」を繰り返すだけの簡単な脚の運動と考えられがちです。
しかし正しく行わないと、腰だけでなく、股関節や膝関節まで痛めてしまう危険性があります。
スクワットの種類、フォームなどについて完全理解し、正しく実施して強靭な足腰を手に入れましょう!
目次
スクワットで鍛えられる筋肉
スクワットは、主に下半身の筋肉を鍛える種目です。
股関節や膝関節を動かす筋肉だけでなく、足関節(足首)や、足の指(足趾)の筋肉も鍛えることができます。
バーベルを肩に担いで行う「バーベル・スクワット」では、バーベルを安定させるため、上半身の筋肉が強く収縮します。
そのため体幹が鍛えられます。
スクワットで全身の代謝がアップする
高重量のバーベルを肩に担いで行うバーベル・スクワットは、全身の爆発的な力が必要とされます。
また全身の筋肉の約70%は、臀部の筋肉を含む下半身に集中しています。
スクワットを行うと、これらの筋肉が刺激されるため、全身の基礎代謝が高まります。
スクワットの種類
スクワットは、足の位置や、足幅によって、様々なやり方があります。
ノーマル・スタンス・スクワット
一般的なスクワットです。両足は肩幅より少し広い程度に開きます。
ワイド・スタンス・スクワット
ノーマル・スタンス・スクワットより足幅を広げたものです。
スプリット・スタンス・スクワット
通常のスクワットは足を左右に開きますが、スプリット・スタンス・スクワットは足を前後に開きます。
大きく足を前に踏み出し、膝を曲げる「ランジ」に似ていますが、ランジは足を交互に踏み出すのに対し、スプリット・スタンス・スクワットは、足を前に踏み出した姿勢のまま、スクワットを行います。
ブルガリアン・スクワット
スプリット・スタンスで、後ろ脚の先をベンチや椅子にのせてスクワットを行います。
ジャンプ・スクワット
スクワットでしゃがみ込み、元の姿勢へと戻るときにジャンプするスクワットです。
シールズ・スクワット
米海軍特殊部隊ネイビー・シールズの隊員がトレーニングで行うスクワットです。
動作に合わせて両手を動かすしリズミカルに行うスクワットです。
両手は、しゃがみ込んだときに顔の前方へ伸ばし、立ち上がるときに腰の後ろに伸ばします。
ヒンズー・スクワット
プロレスラーが愛用する自重スクワットです。
スクワットの動きに合わせて腕を動かします。
ワンレッグ・スクワット(片足スクワット)
片足立ちの状態から、片足だけでスクワットを行います。
下肢の強靭な筋肉だけでなく、体幹の筋力、バランス感覚も必要とされる非常に難易度の高いスクワットです。
バーベルなどの負荷を利用するスクワット
バーベルなどの重量を担いで行うスクワットは、強靭な足腰、体幹を鍛えるのに適しています。
バーベル・スクワット
バーベルを両肩に担いで行います。しっかりと胸を張って僧帽筋を収縮させ、そこにバーベルのバーを乗せましょう。首の後ろにバーベルを乗せると頸椎を痛める危険性があります。
ダンベル・スクワット
両手にダンベル、鉄アレー、ケトルベルを持って行うスクワットです。
ダンベルは肘を伸ばして体側に持ってもかまいませんし、肩の位置でも構いません。
オーバーヘッド・スクワット
バーベルを頭上に保持したまま行うスクワットです。
軽いバーベルで行っても非常に大きな負担が腰にかかるため、実施には十分な注意が必要です。
スクワットでしゃがむ深さの違い
スクワットのスタート・ポジションでは膝が180度伸展しています。
そこからどれだけ膝を曲げてしゃがみ込んでいくかによって、負荷が変わります。
クォーター・スクワット
膝を約45度まで曲げてしゃがむスクワットです。
ハーフ・スクワット
膝を約90度まで曲げてしゃがむスクワットです。
パラレル・スクワット
地面と太ももが平行になるくらいの深さまでしゃがむスクワットです。
フル・スクワット
完全にしゃがみ込むスクワットです。膝関節、股関節、腰椎に大きな負担がかかるので、細心の注意を払いながら行いましょう。
スクワットでは、基本的には深くしゃがみ込むほど、また担ぐ重量が上になるほど負荷が大きくなります。
ただし、それだけ膝関節、股関節、背骨にかかる負担も大きくなります。
膝や股関節の痛み、腰痛がなければ、基本的にパラレル・スクワットを実施すればよいでしょう。
基本的なスクワット(ノーマル・スタンス/パラレル)のやり方
1 足を肩幅よりやや広めに開きます。
2 つま先の向きは、膝を曲げたときに向く方向と同じにします。
3 両手は、頭の後ろで組みます。(肘を伸ばしてまっすぐ前に伸ばす、胸の前で組むなどいろいろ試しましょう。) バーベルを担いで行う場合は、しっかりと胸をはり、担いだバーベルバーを握ります。首ではなく、僧帽筋にバーを乗せるように意識しましょう。
4 腰を曲げずに(前かがみにならずに)、むしろ若干腰を反らすような意識で、しゃがみ込んでいきます。
5 膝がつま先よりも前に出ないよう注意しましょう。
6 太ももが床と平行になるまでしゃがみ込んだら、開始時の姿勢まで戻ります。
スクワットをするときの注意点
スクワットは正しく行わなければ確実に腰を痛めるので、以下の注意点をしっかり理解しておきましょう。
1 腰を絶対に曲げない
バーベルなどの負荷を担いで行う場合、身体がわずかに前に傾くだけで、腰に大きな負担がかかります。
2 背中を丸めない
背中を丸めると背骨(脊柱)に負担がかかり、腰を痛めます。
3 つま先より前に膝を出さない
つま先よりも前に膝が出るということは、前かがみになり過ぎている証拠です。
4 股関節と膝関節を同時に動かしていく
スクワットでは、下半身の全ての関節(特に膝関節と股関節)を強調させながら行うことが大切です。
イメージとしては、「椅子にお尻を軽く乗せるようにしゃがみ込み、お尻が椅子に触れたらすぐに立ち上がるイメージ感じです。
5.バーベルなどの負荷を担いでスクワットを行う場合は、必ずリフティング・ベルトを使用しましょう。
リフティング・ベルトは筋トレの必需品です。腰をしっかりと固定してくれるので、腰椎にかかる負担が軽減されるため、ケガの危険性が劇的に低下します。
スクワットの回数
何回スクワットをするか、どの程度の負荷を担ぐかは、目的によって異なります。
回数を決めて行う自重スクワット
健康の維持、増進が目的なら、バーベルなどのウェイトは使用せず、自重のみで行いましょう。
10~15回を1セットとし、それを数セット繰り返します。
この場合は負荷が軽いので、毎日してもかまわないでしょう。
限界まで行う自重スクワット
ダイエット、減量が目的なら、回数を決めずに限界までスクワットを行うのもよいかもしれません。
全身の筋肉の約70%が殿筋群を含む下半身に集中していますから、それらを限界まで動かすことで全身の代謝がたかまります。
ヒンズー・スクワットや、シールズ・スクワットはスクワットの動作に腕の動きが加わるため、限界まで行う自重エクササイズとしては最適です。
負荷を担いで回数を決めて行うスクワット
筋肥大、ダイエットが目的なら、バーベルなどの負荷を担いでスクワットを行いましょう。
10~15回できる回数のウェイトを担ぎ、3~4セット行います。
「20秒間続け、10秒休む」を5~8セット行う(HIIT)
何回繰り返すかという回数ではなく、時間で区切るトレーニング法です。
今流行(2020年時点)の高強度間欠運動(High Intensity Interval Training)です。
専用のタイマーを利用し、「20秒間、全力でスクワットを行い、10秒休む」を5~8セット繰り返します。
HIITについては別記事で詳しく考察します。
スクワットのススメ
「身体は足腰から衰える」とよく言われますが、これは全身の筋肉の約70%が、臀部の筋肉を含む下半身に集中しており、それらの筋肉が衰えると、まるで全身が衰えたように感じるからだと思います。
スクワットは下半身の筋トレを考えられがちですが、実際には全身運動の要素も含んでいるため、足腰が鍛えられるだけでなく、全身の代謝もアップしてくれる非常に効果的な運動メニューです。
ぜひ、スクワットをあなたのトレーニングの定番メニューにしてみてください!