プロテインを飲み過ぎると腎臓が悪化する?

プロテイン 腎臓悪化

トライアスロンの練習を止めて、ボディビルに集中し始めて2ヶ月が過ぎました。 現在は筋肉を大きくすることに専念する“増量期”です。

筋肉を大きくすることが目的ですから、筋肉の素となるタンパク質を大量に摂取しています。

ところが「タンパク質(プロテイン)を大量に摂取すると腎臓が悪化する」と多くの人は思っています。

今回は、タンパク質の大量摂取と腎臓機能について考察してみたいと思います。

目次

タンパク質を大量に食べるとどうなるの?

先ずは、そもそも論から…。

そもそも「タンパク質を大量に食べる」とどうなるのでしょうか?

肝臓の仕事量が増える

タンパク質は消化されるとアミノ酸に分解され、肝臓に運ばれて代謝(分解と再合成)されます。

アミノ酸が代謝されるとき、有害なアンモニアが発生しますが、肝臓はそれを無害な尿素に変換します(肝臓の尿素回路)。

当然ながら、大量にタンパク質を食べると肝臓の仕事量が増えて、生成される尿素も増えます。

腎臓の仕事量が増える

プロテイン飲み過ぎ 腎臓

腎臓は血液を濾過して老廃物を尿として体外に排出すると同時に、身体に必要なものは再吸収し、体内にとどめる働きをしています。

肝臓で生成された尿素は血液にのって腎臓に運ばれて排出されます。

当然ながら、増えた尿素を濾過しなければならないので、腎臓の仕事量は増えます。

つまり大量にタンパク質を食べると、肝臓で生成されて腎臓から排出される尿素が増えるので、肝臓と腎臓は仕事量が増えて疲労し、ダメージを受ける可能性が高まると考えられます。

タンパク質の「適切な」摂取量はどれくらいなのか?

では、どのくらいのタンパク質を摂取すると、腎臓はダメージを受けるのでしょうか?

2005年に米国医学研究所が提言したタンパク質の【推奨栄養所要量:RDA】は「0.8g/1kg」(体重1㎏あたり0.8g)でした。

しかし米国では、食事に占めるタンパク質の割合が高いため、一般の人でも「0.8/1kg」以上を摂取しており、ボディビルダーはその何倍も摂取しています。

ですから、「米国人はタンパク質を過剰に摂取している」と議論が巻き起こったとしても当然ですね。

その後、プロテイン・サミットなどの会議で様々な議論がなされ、現在では「1.0〜1.6g/1kg」のタンパク質を摂取する必要があるといわれています。

日本でも、ほとんどの雑誌や本には当然のように「タンパク質は体重1kgあたり、1.0~1.6g摂取する必要がある」と書かれていますね。

タンパク質の「過剰な」摂取量とはどれくらいなのか?

2018年5月、ハーバード大学はタンパク質の摂取量について「タンパク質の摂取量は1日あたり2.0g/1kg以下にとどめることが推奨される」と発表しました。

また腎臓の負担を考慮すると、1度に大量のタンパク質を摂取するのではなく、何回かに分けて摂取すること、牛肉や豚肉だけでなく、鶏肉、乳製品、大豆などからも万遍なくタンパク質を摂取することを推奨しています。必読記事⇒『When it comes to protein, how much is too much? – Harvard Health Publishing』(プロテインに関して、どれくらいが、過剰なのか? ハーバードヘルスパブリッシング

つまり、現時点では2.0g/1kg以上(体重1kgあたり2.0g)は「過剰」であると考えてよいでしょう。

筋肥大を目指すボディビルダーに必要なタンパク質は?

ただ、この2.0g/1kgは、普通の人の場合です。

激しい筋トレをする人やボディビルダーは、筋トレをしない人以上に多くのタンパク質が必要となります。

筋トレで壊れた筋肉を修復するためには、その素となるタンパク質が不可欠だからです。

もし筋肉を修復するために必要なタンパク質が不足したらどうなるでしょうか?

身体は筋肉以外の組織を分解してタンパク質を作り出し、それを筋肉の生産に回そうとします。

私は10年程前、激しい筋トレを続けながら普通の食事を続けていたところ、歯茎が痩せたという経験があります。

これは、筋肉に必要なタンパク質を、他の細胞を分解してでも補おうとする身体の生理現象だったと思われます。

つまり激しい筋トレをする人やボディビルダーが2.0g/1kg以上のタンパク質を摂取するのは、「過剰な摂取」ではなく「必要な摂取」といってもよいでしょう。

ただし現時点(2018年9月)では、2.0g/1kg以上のタンパク質を摂取しても安全であるという結論は米国でも発表されていないようです。

体重1kgあたり2.0gのタンパク質とは、どのくらいなの?

2.0g/1㎏のタンパク質と云われてもピンときませよね。

いちいち食品に含まれるタンパク質量を計りながら料理したり食事したりしませんから…。

私は、かなり大雑把ですが「普通の弁当、給食、定食では約20gのタンパク質が摂取できる」と考えています(実際、成分表にはその程度です。)

一日三食、朝昼晩に、普通のバランスの取れた食事をすると仮定すると、食事だけで約60gのタンパク質を摂取できます。

私の体重は現在73kgですから、1kgあたり2.0gのタンパク質が必要と考えると、1日に146gのタンパク質が必要です。

つまり一日三度の食事以外から86g(146-60)のタンパク質が必要です。

これは卵に換算すると、15個になります。(卵1個に含まれるタンパク質を6gとした場合)

三食以外に卵15個も食べれますか?

2.0g/1kgのタンパク質を毎日摂取するということは、かなりの努力が必要で、意識して三食以外からタンパク質を摂取する必要があります。

タンパク質の過剰摂取は、かなり困難だし、控えるべき

2.0g/1㎏以上のタンパク質を摂取しようとすると、明らかに「毎日プロテインをガブのみする」とか「毎日肉ばかり食べまくる」必要があります。

そうすると肝臓や腎臓の仕事量が増えて、疲労から肝臓病や腎臓病になるのは当然ですね。

狂ったようにプロテインを飲みまくるのは、明らかに有害です。 プロテインは1回で約20gのタンパク質が摂取できますから、鍛えた日でも4杯までに抑えるべきでしょう。

ところが、意識しなくてもタンパク質を過剰に摂取してしまう場合があります。

それが糖質制限ダイエットです。

タンパク質を過剰摂取しがちな糖質制限ダイエット

最近は糖質制限ダイエットも広く知られるようになっており、痩せたい人なら一度は挑戦したことがあるのではないでしょうか?

糖質を摂取すると血糖が上昇し、インスリンが分泌されて、血液中の栄養素が脂肪として取り込まれやすくなるという図式です。

毎日の食事から糖質を制限すると、総摂取カロリーが減るか、または相対的にタンパク質や脂肪の摂取量が増えます。

糖質の代わりにタンパク質を増やすと、場合によっては2.0g/1kgを超える可能性もあるので、注意が必要です。

血液検査で自分の腎臓の状態を把握することが重要!

肝臓や腎臓が健康な状態ならば、2.0g/1kgのタンパク質摂取は、特に問題にはならないと考えられます。

しかし、もし肝臓や腎臓の機能が低下している場合は、タンパク質の摂取量を増やすことには注意が必要です。

腎臓の状態を把握する最も手軽で有効な方法は、血液検査です。定期的に血液検査を受けて、次の項目を必ずチェックすることが大切です。

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血中尿素窒素(BUN):基準値は10~20㎎/dl

尿素は身体に不要なものですから、腎臓で濾過されて尿として体外へ排出されます。

しかし腎臓の機能が低下して、上手く濾過されないと血液中に残るため、血中尿素窒素の値が基準値を超えてしまいます。

血中クレアチニン値:基準値は1.0~1.5㎎/dl(男性)

血液中の過剰なクレアチニンは腎臓で濾過されて尿として体外へ排出されます。

クレアチニンは尿以外では体外へ排出されませんから、血液中のクレアチニン値が高い場合は、腎臓の濾過機能が低下していると考えることができます。

しかし血液検査で血中クレアチニン値が高い=腎臓機能が低下していると、即、考えてはいけません。

クレアチニンは筋肉を動かすためのエネルギーを使うと発生するため、筋肉量の多い人、激しい運動をする人は血中クレアチニン値が高くなる傾向にあるからです。

そのため、筋トレをする人、ボディビルダ―の場合は、血中クレアチニン値が基準値を僅かに上回るのは仕方ないかもしれません。

ただし腎臓の濾過機能(糸球体濾過値GRF)が50%まで低下してからクレアチニン値は上昇すると云われているので、注意深く、継続的に血中クレアチニン値をモニターする必要があります。

血中尿酸値

腎機能低下の指標の一つに尿酸値があります。 腎機能が低下すると、尿酸が体外に排出されなくなるため、血液中の尿酸値が上昇します。

血中尿酸値が高いと、腎臓に尿酸が沈着して腎障害を引き起こします(痛風腎)。

尿路結石ができる危険性も高まるので、血中尿酸値も常に基準値内に収める必要性があります。

ただし、激しい筋トレやボディビルダーは尿酸値が高くなる傾向にあります。

筋トレ・尿酸値・痛風・腎臓の関係については次回の記事で深く考察します。

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まとめ:タンパク質の摂取量を増やす時の注意点

以上のことから、タンパク質を大量に食べて筋肉を増やす「増量期」においては次の点に注意しなければならないと思っています。

定期的に血液検査で腎臓・肝臓の機能をチェックする

血液検査で、肝臓や腎臓の状態をある程度は把握することができます。

特に、腎臓の濾過機能の指標ともいえる血液中の「尿素窒素・クレアチニン値・尿酸値」を把握することが大切です。基準値を大きく超えた場合は、タンパク質の摂取量を減らす必要があります。

いろいろな種類のタンパク質を摂取する

朝昼夜に普通に食事しただけでは、筋肉を増やすために必要十分なタンパク質を摂取することはできません。

プロテインやゆで卵など、意識してタンパク質を補充する必要があります。

この時に注意しなければならないのは、「偏らない」ことです。

つまりプロテインばかり飲むのではなく、プロテイン、BCAAドリンク、ゆで卵、納豆、鶏肉、牛肉、豚肉…など、様々な種類のタンパク源からタンパク質を摂取する方が、健康に良いと私は考えています。

大量の水を飲む

水分は必ず十分すぎるほど飲むようにしましょう。

水分が減ると、血液が濃くなります。ドロドロの血液を濾過するのは、腎臓の微小な血管にとって大きな負担となります。

水分をしっかり飲んで、血液をサラサラに保つことが大切です。

私は今まで1日に2リットルのお茶を飲んでいましたが、現在は純粋な「水」を飲むようにしています。

「水」と「お茶」の違いについては次回以降の記事で深く考察したいと思います。

…というわけで、現在、ボディビルに専念して筋肉を増やすことに意識している私は、以前に比べて大量のタンパク質を摂取しています。

10月には詳細な血液検査を受ける予定ですので、7~9月の三ヶ月間の大量のタンパク質摂取が、どのように反映されているかを大公開したいと思います。

次回は、筋トレ・尿酸値・痛風・腎臓の関係については次回の記事で深く考察します。Check it Out!

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