腰痛の原因その1:股関節が固い

腰痛と股関節の関係
腰痛と股関節の関係

こんにちは 理学療法士の石部伸之です。

腰痛を引き起こす原因はいろいろあります。

その一つが「股関節が固い」、つまり股関節の柔軟性低下です。

股関節の柔軟性が乏しい人は、腰痛になるリスクが非常に高くなります。

今回は腰痛と股関節の柔軟性低下の関係について考えてみました。

目次

関節は他の関節と協調して動いている

普段の生活で、一つの関節だけを動かすような動作はほとんどありません。

いくつもの関節が協調して動くことで、私達は身体を動かしています。

腰痛と股関節の柔軟性の関係

例えば上の写真のように腰を捻るストレッチ。

背骨は幾つもの椎骨という骨が重なって構成されています。

各椎骨が少しずつ捻じれることで、身体全体が大きく捻れます。

腰の背骨(腰椎)はほとんど捻じれない

ところが全ての椎骨が同じように捻れるわけではありません。

背骨には「よく捻れる場所」と「ほとんど捻れない場所」があります。

腰痛と股関節の柔軟性の関係
背骨のしくみと動きがわかる本 石部伸之著 秀和システム

上の図のように立ったまま腰を約125度捻る場合をみてみましょう。

125度のうちの約35度が「胸椎&腰椎の捻れ」

125度のうちの約90度が「頸椎&股関節の捻れ」となります。

つまり身体の捻れのうち、実はそのほとんどが首と股関節の動きなのです。

首から下の背骨(胸椎と腰椎)は35度しか捻れていません。

さらにいえば、5つある腰椎は5度しか捻れないのです。

5つで5度ですから、一つ一つの腰椎は1度しか捻れません。

腰の背骨(腰椎)の形状について

5つある腰椎の形状をみてみると、何故、腰は捻れないかが理解できます。

腰椎と腰椎が接する面は「椎間関節」と呼ばれます。

腰椎以外の背骨は、椎間関節が比較的並行に積み重なっています。

腰痛と股関節の柔軟性の関係

つまり「お皿の上にお皿が乗っている」ようなものなので捻じれることができます。

腰痛と股関節の柔軟性の関係
背骨のしくみと動きがわかる本 石部伸之著 秀和システム

ところが腰椎の関節面は、ほぼ垂直に近い形状をしています。

そのため回旋(捻れ)は制限されます。

つまり構造的 に「腰はねじれない」ということを頭に叩き込んでおきましょう。

腰痛と股関節の柔軟性の関係

プロゴルファーのスイングを後ろからよく観察してみると、腰はほとんど捻じれておらず、股関節が大きく捻じれているのが一目瞭然ですね!

股関節が固いと腰の負担が増える

身体全体を捻ったり曲げたりするとき、実は股関節が大きく動いているということが理解できたと思います。

つまり股関節が固いと、それだけ腰を大きく動かさなければなりません。

構造的にほとんど動かない腰椎を、無理やり動かさざるを得なくなるのです。

その結果、腰椎に大きな負担がかかり、腰椎を支える様々な筋肉にも疲労が蓄積するというわけです。

ハイポモビリティーとハイパーモビリティー

動きが悪くなった関節は「ハイポモビリティー」と表現されます。

痛みや筋肉の柔軟性低下により動きが悪くなった関節です。

その逆に、過剰に動かされる関節は「ハイパーモビリティー」と表現されます。

動きの悪くなった関節を補うために、過剰に動かされる関節です。

つまり股関節がハイポモビリティーに陥ってしまうと、腰がハイパーモビリティーになってしまうというわけですね。

これが習慣化してくると、関節同士の協調性が破綻し、ケガをする危険性が高まります。

股関節の柔軟性を高める方法

腰痛と股関節の柔軟性の関係
背骨のしくみと動きがわかる本 石部伸之 秀和システム

股関節の柔軟性を高めるためのストレッチで、もっとも手軽なのが「伸脚」と「四股踏み」です。

何か特別なスポーツでもしていない限り、私達は普段の生活で股関節を大きく動かすことはほとんどありません。

これでは股関節が固くなってしまうのは当たり前と言えます。

股関節の柔軟性を高めるためには、一日のうち、僅かな時間を見つけてできるだけ頻繁に「伸脚」と「四股踏み」をするようにしましょう。

伸脚の正しい実践方法はコチラ 必読記事→【伸脚:意外と効果的なストレッチ

次回は「四股踏み」の正しいやり方について考えてみたいと思います。

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