理学療法士 石部伸之の「究極の健康体を目指すシニアのためのリハビリトレーニング講座」第2回。
前回の講座の要旨
・スポーツ(運動)しているからといって健康になれるとは限らない
・健康のためにはスポーツに加えて、身体を鍛えるトレーニングが不可欠
今回から「究極の健康体」を目指すにはどんなトレーニングをすればよいのかについて講座を始めます。
目次
あらゆる能力を万遍なく鍛えるのがベスト
私達人間には様々な能力が備わっています。
人間ほど複雑で様々な能力を備えている生き物は存在しないといっても過言ではありません。
そしてそれらの能力は互いに影響し合いながら、一人の人間を形成しています。
このことは、ある能力だけが優れていても、その他の能力が低くては、全体として上手く機能しないということを意味しています。
究極の健康体を目指すなら、ある一つの能力だけを鍛えるのではなく、あらゆる能力を万遍なく総合的に鍛えるという考え方が大切です。
全体としての調和を考慮したトレーニングこそ、究極の健康体への道です。
筋力、持久力、柔軟性、瞬発力、技術力
あらゆる身体能力を万遍なく鍛えることは、とても範囲が広く一見、困難に思えます。
しかし人間の身体能力は大まかに「筋力・持久力・柔軟性・瞬発力・技術力」という5つに分類することができます。
これらの能力をできるだけ万遍なく鍛えるという意識が大切です。
私達は普段の生活やスポーツで「筋力・持久力・柔軟性・瞬発力・技術力」を様々な割合で発揮しています。
重たい荷物を持ち上げる時には、筋力と瞬発力が要求されます。
山道や田舎道を歩く時には、持久力や技術力が要求されれます。
ランニングは持久力を最も必要とされる運動の代表です。
砲丸投げは瞬発力と筋力が高い割合で必要とされます。
エアロビクスは瞬発力、柔軟性、持久力、技術力、筋力が総合的に要求されます。
どの身体能力が最も重要かというのは問題ではありません。
自分の生活、自分のスポーツに応じて鍛えるべき能力は違ってきます。
しかし理想は、五つの能力をできる限り万遍なく鍛えていくことです。
能力は障害されて初めてその重要性を意識する。
私達は普段の生活で、5つの身体能力(筋力・持久力・柔軟性・瞬発力・技術力)の大切さをあまり意識しません。
しかし一たびケガをすると、その大切さを痛感します。
あなたも一度は肩関節を痛めたことはありませんか? 俗にいう「五十肩」というやつです。
動かすたびにキャッと痛みがはしり、肩を自由に動かすことができなくなります。
ひどい場合には肩関節が固まり、腕を挙げることも、モノを持ち上げることもできなくなります。
このような状態になって初めて、肩関節の強さ、柔軟性、動かし方の大切さを理解できます。
五十肩の原因は様々ですが、肩の筋力、柔軟性、動かし方(技術力)さえトレーニングしておけば、ある程度は予防することがます。
このことは、膝関節でも腰でも当てはまることです。
日頃から5つの身体能力(筋力・持久力・柔軟性・瞬発力・技術力)を意識的に万遍なく鍛えておけば、ケガの予防につながり、より快適に、より健康的に生活できます。
次回のリハビリトレーニング講座は…?
私は現在、11月25日に開催される「第39回瀬戸内海タートルフルマラソン全国大会」のハーフ完走に向けて、週2日のランニング練習と、週2日の上半身の筋トレをしています。
ランニングで下半身は鍛えられると考え、下半身のトレーニングを怠っています。
しかしその結果、明らかに股関節や臀部に違和感があります。
次回のリハビリトレーニング講座では、ランナーは走るだけではなく、それ以外のトレーニングで下半身を鍛える必要があることを解説したいと思います!
…続く(…to be continued)