鍛え抜いていますか?
前回の記事で、筋肉の柔軟性の大切さが完全理解できたと思います。
筋肉の柔軟性を高める方法は、ストレッチがもっとも有効です。
今回はストレッチの種類、やり方、注意点について考察してみました。
目次
ストレッチの種類を完全理解
筋肉を伸ばすストレッチには大きく分けて「静的ストレッチ」と「動的ストレッチ」の二つがあります。
動的ストレッチは、「ダイナミックストレッチ」と「バリスティックストレッチ」の二通りのやり方があります。
スタティックストレッチ
筋肉を一定方向に徐々に伸ばしていき、伸びきったところでしばらく静止して筋肉を伸ばすストレッチ方です。
スタティックストレッチの注意点としては、伸ばしたい筋肉を意識して、正確に関節を動かすことです。
例えば脚の裏側のストレッチをする場合。
左の図では、腰が曲がって、本来伸ばしたい脚の裏側はあまり伸ばされません。
右の図では、腰の曲がりは少ないですが、股関節を曲げているので脚の裏側がしっかりとストレッチできています。
このようにスタティックストレッチでは、伸ばしたい筋肉をしっかりと意識して、正確に伸ばすことが大切です。
また「呼吸を止めないこと」も大切です。
ダイナミックストレッチ
ダイナミックストレッチは関節を動かしながら筋肉を伸ばしていくストレッチです。
例えば肩をグルグル回すのもダイナミックストレッチの一つです。
単に関節を動かすよりも「拮抗筋(きっこうきん)の収縮」と「筋肉の相反神経支配の利用」に留意しながら実施するとより効果的です。
「拮抗筋(きっこうきん)の収縮」と「相反神経支配」とは?
拮抗筋の収縮とは、伸ばしたい筋肉の裏側の筋肉を意識して収縮させることです。
例えば肘を曲げ伸ばしするダイナミックストレッチを例に説明します。
単に肘を曲げ伸ばしするのではなく、肘を動かす筋肉に意識を向けるようにしましょう。
筋肉には「収縮するとその反対の筋肉が反射的に弛緩する」という相反神経支配(相反抑制)の性質があります。
つまり、上腕二頭筋をストレッチするなら、上腕三頭筋の収縮に意識を向け、上腕三頭筋をストレッチするなら、上腕二頭筋の収縮に意識を向けるということです。
伸ばしたい筋肉ではなく、伸ばしたい筋肉の裏側の筋肉を意識して収縮させるということです。
更に筋肉には、最大限収縮した後は、緩みやすいという性質もあります。
単に関節を動かすだけではなく、筋肉の収縮にしっかりと意識を向けることで、より効果的にダイナミックストレッチを行うことができます。
バリスティックストレッチ
バリスティックストレッチは、動的ストレッチの一種で、反動を使ったストレッチです。
例えば「イチ、ニ、サンッ」と反動をつけてアキレス腱を伸ばすのはバリスティックストレッチです。
反動は徐々に大きくしていき、最終的には関節の可動範囲いっぱいまで動かします。
筋肉は急激に強く伸ばされると、断裂を防ごうとして逆に縮もうとする性質があります。
これが伸張反射といわれるものです。
闇雲にバリスティックストレッチをすると、筋肉や腱が断裂したり損傷したりする危険性があるので注意しましょう。
伸張反射を完全理解
例えば垂直飛びをする時、私達は無意識にしゃがみ込んでから飛び上がろうとします。
素早くしゃがみ込むと、お尻の筋肉やふくらはぎが急激に引き伸ばされてます。
引き伸ばされた筋肉が反射的に収縮しようとする伸張反射を利用して、より高く飛び上がろうと無意識にしているという訳です。
またお医者さんがハンマーで膝をこんこんと叩くのを見たことがあると思います。ハンマーで叩かれると、太ももの筋肉が一瞬引き伸ばされます。
断裂を防ごうと反射的に太ももの筋肉は収縮し、膝から下がポンと持ち上がるのも伸張反射です。
動的ストレッチの注意点とは?
伸張反射は筋肉の断裂を防ぐための防衛反応とも言えます。
バリスティックストレッチはこの伸張反射を起こしやすいため、筋肉が反射的に収縮して、筋線維や腱を痛めやすいという危険性があります。
しかし上手く利用することで筋肉の収縮力を高めることもできるので、試合前のウォーミングアップに適しているとも言えます。
また、バリスティックストレッチとダイナミックストレッチは、厳密には異なるものですが、その違いを明確に意識するのは困難な場合もあります。
動的ストレッチは次のような点に注意しながら実施しましょう。
【ダイナミックストレッチ】
・収縮している筋肉に意識を向ける。
・反動を使って関節を無理に引き伸ばさないよう、動きをコントロールする。
【バリスティックストレッチ】
・身体が冷えた状態ではしないこと。
・関節が最大限伸ばされる瞬間に意識を向けておく。
それでは次回から実際のストレッチについて解説していきたいと思います。
…to be continued(続く…)