お盆休みの間は普段より長く睡眠できますよね。(私の場合は 22:00~07:00 の9時間弱!)
よく眠れるので疲れは取れますが、あまり寝過ぎると腰が痛くなります。起きてスグに不用意に動こうものならギックリ腰に見舞われそうです。
今回は、長時間寝た後は何故、腰が痛くなるのかについて考察してみます。
目次
腰にかかる負担は姿勢で変わる!
私が理学療法士の試験勉強をしていた頃、腰にかかる負担はだいたい次のように習いました。
立った状態の腰の負担を【100】とすると…、横になる=25、座る=140、軽くお辞儀する=150、座って前かがみで物を持つ=280
上の図は姿勢によって腰にかかる負担の大きさを比較したものです。
1976年と1999年の研究結果ではいろいろと差異がありますが、共通しているのは「仰向けで寝る姿勢」がもっとも腰にかかる負担が少ないということです。
最近の研究では「横向けに寝る姿勢」も腰にかかる負担は少ないという結果が出ています。
寝ると背骨も筋肉も重力から解放される。
背骨は24個のブロック状の椎体(ついたい)が積み重なってできています。
「立つ」「座る」という姿勢では、この背骨に上から重力がかかっています。
その重力を少しでも軽減するために、背骨には自然な「S字カーブ」があり、椎体と椎体の間にはクッションの役割を果たす「椎間板」があるという訳ですね。
また腰、背中、腹部の筋肉は姿勢を保つために常に力を発揮しています。
「寝る」と背骨は重力から解放されるため、背骨にかかる圧は無くなり、筋肉の力も抜けるので、腰の負担は軽くなります。 ですから「腰痛には寝るのが良い」となるわけですね。
仰向けで長時間寝ると腰は痛くなる
確かに寝ることによって背骨も筋肉も重力から解放され、負担が軽減します。
しかし寝過ぎると「靭帯が緩み過ぎる」「筋肉が固くなる」という別の問題が生じます。
靭帯が緩む
背骨を構成する24個の椎体は、強固な靭帯で繋がれています。
「寝る」姿勢では、それらの靭帯が伸びてしまいます。靭帯はあまり伸び縮みしませんから、長時間「寝る」と伸び過ぎて痛みを感じるようになります。
筋肉が固まる
背骨は靭帯だけでなく無数の小さな筋肉によっても繋がれています。
筋肉は動いて伸び縮みすることで血液循環が促進されます。
寝ている間、身体は寝返りする以外はあまり動きませんから、寝過ぎると筋肉が固くなり、血行が悪化して痛みが生じるようになります。
腰を含む背部の筋肉は「脊柱起立筋群」と呼ばれ、起きて活動している間は常に重力に抗って姿勢を保持しています。
そのため慢性的に疲労が蓄積しやすい筋肉です。それに加えて普段より重たい物を持ったり、背中の筋肉の筋トレをしたりすると、筋肉はコリ固まってしまいます。
靭帯が伸ばされるように、寝ている間に固まった筋肉も無理やり伸ばされるようになるので、痛みを感じるようになります。
このように、朝起きた時に腰が痛くなるのは、程度は仕方ないことなのです。
朝起きた時の腰の痛みを軽減する方法
歳をとると、筋肉も靭帯も老化して若い頃のようなみずみずしさが無くなります。そのため、朝起きた時に腰が痛くなるのは生理学的にも仕方ないことです。
しかし仕方ないで終わっては意味がありませんね。
…というわけで、可能な限り朝起きた時の腰の痛みを軽減する方法を紹介します。
寝返りが大切。
海外旅行で長時間狭い飛行機の座席で過ごすと、筋肉がガチガチになって身体中が痛くなることがあります。これは狭い座席では自由に身体を動かせないことが原因です。
できるだけ自由に寝返りができる環境を整えましょう。
寝ている間は無意識に寝返りしますが、身体の柔軟性が乏しいと、寝返りに影響を及ぼします。
無意識に自由に寝返りができるようになるには「寝返りストレッチ」が大切です。「寝返りストレッチ」は次回説明します。
仰向けで寝る時は、膝下、アキレス腱下にタオルを敷こう!
仰向けで棒のように手足を伸ばしたまま寝るのはあまりオススメできません。
腰の筋肉がコリ固まっている場合、膝を伸ばして仰向けで寝ると、寝ている間に筋肉が縮もうとしてS字カーブがキツクなります。いわゆる「でっ尻(でっちり)」「反り腰」になってしまいます。
疲労して固くなった腰の筋肉がさらに縮んでしまうので、痛みが出る場合があります。
仰向けでなければ寝れないという方は、膝下やアキレス腱の箇所にバスタオルか小さな枕を敷いてその上に脚を乗せましょう。
腰の過剰な反りを軽減できて、腰の負担を減らすことができます。
横向きで海老のように丸くなる
腰を痛めたことがある方なら経験上、知っていることですが、横向きになって腰を丸めて寝ると腰の負担を減らすことができます。
疲労して固くなった腰の筋肉が緩むので、楽に眠ることができます。
起床後1時間は魔の時間帯
ギックリ腰は、朝起きて1時間以内に起きる確率が非常に高いのが特徴です。
これは寝ている間に背骨を繋いでいる靭帯が緩んでいたり、筋肉が固まっていたりすることで、急激な動きに対応できずに「ビキッ!」と損傷してしまうことが原因です。
朝起きて顔を洗う時、歯を磨く時、朝食を作る時、トイレの時、とにかっく不用意に腰を曲げたり、中腰姿勢をとるのは避けるようにしましょう。
無意識に自由に寝返りできるようになるには?
いくら寝る姿勢に注意しても、いったん寝てしまえば、知らない間に姿勢は乱れます。
大切なのは「前日に動き過ぎて腰の筋肉に負担を溜めないこと」と「寝ている間にしっかりと寝返りできること」です。
寝ている間にしっかりと寝返りができるようになるには身体の柔軟性が非常に重要になってきます。
つまり寝返り動作の基本である「首の回旋⇒肩の回旋⇒骨盤の回旋」という一連の「身体の捻り動作」がスムーズにできるような柔軟性です。
次回は当ブログオリジナルの「寝返りストレッチ・・・ロールオーバーストレッチ」について解説したいと思います!
乞うご期待! Check it Out!!