「しゃがみ込んで草抜きを頑張ったら腰が痛くなった」
「腰が痛くなった後、太ももに痛みやシビレが出てきた」
「病院で腰椎ヘルニアと診断され、手術を勧められたが、できれば手術はしたくない…」
この記事はそんな方へ向けて書いています
キーワード:
草抜きの姿勢、ぎっくり腰、腰椎ヘルニア、脚(太もも、膝、ふくらはぎ)の痛みとシビレ
こんにちは、理学療法士の石部伸之です
最近は自宅菜園や、畑でトマトやキュウリを栽培されている方が増えてきました
夏の間は、畑だけでなく、庭、敷地に雑草が生えまくり、いくら抜いても追いつきません
草抜きを一生懸命に頑張りすぎて、足腰が痛くなった方も多いのではないでしょうか?
実は草抜きをする時の「しゃがみ込む」姿勢は、足腰に非常に大きな負担をかけます
足腰の筋肉が疲労し、腰痛やギックリ腰になることがあります
今回は、草抜きの時の姿勢、つまり長時間「しゃがみ込む」ことが足腰にどのような悪影響を及ぼすかを考察してみました
目次
- 「しゃがみ込む」姿勢はこんなに悪い
- 癒着しやすい脚の付け根の筋肉とは?
- 脚の筋肉を理解しよう
- 自分でできる治療法
- 大切なのは予防すること
目次
「しゃがみ込む」姿勢はこんなに悪い
正座すると何故、足にシビレがでる?
誰もが正座した後、足に「ジンジン」「ピリピリ」といった痛みやシビレが出て、力が入らず、まともに立つことも歩くこともできなくなるといった経験したことがあるはずです
この症状は何故起きるのでしょうか?
正座した時の足の状態を考えてみましょう
正座すると脚に体重がかかり、お尻から下の筋肉が圧迫され続けます
圧迫されると当然ながら血行が悪くなります
血行が悪くなると、足の筋肉組織が酸欠になり、栄養も届かなくなります
酸欠という危機的状況に直面すると、血液からはブラジキニン等の発痛物質が出てきます
この発痛物質が足の感覚神経に伝わり、「ジンジン」「ピリピリ」といった感覚が生じます
圧迫が取り除かれると血行が回復するので、痛みやシビレはなくなるというわけですね
実は、手や足の指に「しもやけ」ができるのも、寒さによる指先の毛細血管の血流悪化が原因です
「しもやけ」になると痒いですよね
実は痛みを伝える感覚神経を、持続的かつ軽度に刺激すると「痒み」が生じることが知られています
つまり刺激が強ければ“痛み”、軽ければ“かゆみ”となります
「ジンジン」「ピリピリ」と表現される感覚も程度の異なる痛みであると捉えることができるのです
「しゃがみ込む」姿勢は、正座より負担がかかる
正座は単に座っているだけですから、足の筋肉はあまり働いていません
ところが「しゃがみ込む」姿勢では、足の筋肉がかなり働いています
特に踵を挙げた「しゃがみ込み」は、身体のバランスを取ろうとして、筋肉がかなり緊張します
「しゃがみ込む」姿勢は、足の筋肉が働きながら圧迫されるため、筋肉組織にとっては非常に過酷な状態といえます
「しゃがみ込む」とヘルニアになりやすい
しゃがみ込む姿勢では、背骨は曲がっています
背骨は椎骨というブロック状の骨が積み重なって一本の柱を形成しています
椎骨と椎骨の間(椎間:ついかん)にはクッションの役割を果たしている「椎間板」があります
背骨を前に曲げるということは、椎間の前方が圧縮され、後方は拡がります
この時、椎間板の中心に位置している髄核には後方へ押し出されるような力が働きます
この状態が続くと椎間板の耐久性は徐々に低下し、椎間板の中心にある髄核というゼリー状の組織が後ろに飛び出してきます
椎骨と椎骨を結び付けている「前縦靭帯」や「後縦靭帯」といった強い組織でさえも突き破るほどの力が加わるのです
これがいわゆる「ヘルニア」と呼ばれる状態ですね
「ヘルニア」とは、“飛び出したもの” を意味する言葉です
更に悪いのは、しゃがみ込んだ状態で動くことです
しゃがみ込んだまま動くと、背骨には捻じれの力が加わります
捻じりが凄まじい力を生み出すことは、濡れた雑巾をしぼる時のことを思い浮かべれば簡単です
指でギュッと掴むだけでは雑巾はあまりしぼれません
ところが雑巾を捻じると、最後の一滴までしぼり切ることができるのですう
捻じりというのはこれほどまでに凄まじい力を生み出します
このように長時間「しゃがみ込む」姿勢をとり、その姿勢のまま移動すると、背骨の腰の部分=腰椎を壊す危険性が高まります
さらに「しゃがみ込む」姿勢は脚の筋肉の血行を悪化させるので、下半身の筋肉が硬直し、筋線維がガチガチに固まってしまいます
次回は「しゃがみ込む」姿勢により下半身のどの筋肉がどのように硬直するかを考察します
…to be continued(続く…)