今回は、多くのランナーやウォーカーを悩ます膝関節の痛みについて、その予防法とケア法を考察してみました。
目次
膝は変形していなくても痛くなる。
私は理学療法士という仕事柄、膝の痛みを訴える患者さんのリハビリすることがあります。
患者さんの中には、膝関節がかなり変形している人もいれば、あまり変形していない人もいます。
しかし膝関節がかなり変形しているにも関わらず、痛みがまったく無い人もいます。
つまり、膝関節の痛みは、必ずしも関節の変形だけが原因だけではなく、筋肉の疲労によっても引き起こされるということを理解しましょう。
非常に不安定な膝関節
膝関節は基本的には、骨の上に骨が乗っているだけの関節です。
例えるならば、箱の上に箱を乗せているようなもの、といっても過言ではありません。
つまり非常に不安定な構造です。
にもかかわらず、膝関節が安定しているのは、強靭な靭帯、多数の筋肉によってガッチリと補強されているからです。
ランニングでは、この不安定な膝関節に、体重の何倍もの負荷がかかります。
一生懸命ランニングやウォーキングに励む場合は、膝関節のケアを怠ると、いつか必ず膝関節を痛めることになります。
膝関節の構造を完全理解しよう!
膝関節のケア方法を学ぶ前に、まずは膝関節の構造を完全理解しましょう。
膝関節全体は関節包(かんせつほう)という袋で包まれており、その内側の滑膜(かつまく)からは関節液滑液(かつえき)が分泌されています。
「膝に水が溜まった」ことがある人がいるかもしれません。この「膝の水」とは滑液のことです。
膝関節の骨
「大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)、脛骨(けいこつ:弁慶の泣き所の骨)、膝蓋骨(しつがいこつ:膝のお皿)から構成されています。
大腿骨と脛骨が接する骨端(こったん)部分は滑らかな軟骨(なんこつ)で覆われています。
膝関節にある靭帯
膝関節は主に4つの靱帯(じんたい)「前十字靭帯・後十字靭帯・外側側副靭帯・内側側副靭帯」で連結されています。
膝関節にある半月板
大腿骨と脛骨その間にクッションの役割をはたす半月板(はんげつばん)があります。(内側半月板と外側半月板があります。)
膝関節の靭帯や半月板のケア方法とは…
膝関節を構成している骨、靭帯、半月板、関節包などは、ハッキリ言って鍛えようがありません。
特に靭帯は強靭な組織なので、事故や転倒でもしない限り断裂(ブチ切れる)することはあまりありません。
これらの組織のケア方法の基本は「安静」です。
普通に立っているだけで、これらの組織には体重の何倍もの重さが加わっています。
長距離のランニング、坂道の登り下り、階段昇降では、それ以上に大きな負荷がかかります。
しっかりと動いた後は、足を高く挙げて、とにかく横になって休みましょう。
半月板や関節軟骨に常にかかっている圧迫を取り除くことで、血液や体液の循環も良くなります。
グルコサミンやヒアルロン酸のサプリは効くのか??
関節の動きを助けるサプリメントが数多く市販されています。
口から摂取するこれらのサプリメントは、胃や腸で吸収され、肝臓で処理されて全身に運ばれます。
肝臓で処理された成分が、ピンポイントで膝関節に供給されるわけがありません。
サプリメントを飲むよりは、バランスのとれた食事を摂取し、足を高く挙げた横になって休む方がはるかに膝関節のケアになると思います。
次回は、ランナーやウォーカーなら必ず完全理解しておかなければならない、膝周囲の筋肉と、そのケア方法を詳しく考察します。
…to be continued(続く…)