私の現在の愛車「Cクラス」は W205 という型番です
W201に始まりW205で五代目ということになります
Cクラスという名称は二代目のW202から採用されました
初代CクラスにあたるW201は1982年に発表された「190E」なのです
190Eは、80年代に一世を風靡した小型のメルセデス
W201という型式名が示すとおり、現在のCクラス(W205)の元祖というべきモデルです
当時のメルセデス・ベンツの主力モデルはEクラス(W123)とSクラス
そんな時代の小型ベンツは、スタイルのみならず、品質や乗り心地もEクラスやSクラスを小さくしたもので、5ナンバーのコンパクトサルーンとしては、明らかに高級車だったと思います
この190Eを機に、現在のベンツCクラスの絶大なる支持が始まったと言っても過言ではありません
実はこの190E、私にとっては憧れの車の一つでした
というのも、当時大学生だった私の師が、この190Eに乗っておられ、私はいつも羨望の眼差しでこの190Eを見ていたからです
25年以上経った今、私自身が190Eの流れをくむ新型Cクラスに乗るようになりました
今回は25年以上の時を経てW201からW205へと進化したベンツCクラスの血統について調べてみました
目次
ベンツ初のDセグメント車「190E」
Cクラスの血統を調べるにあたり、最初に語らなければならないのが「190E」です
190Eはベンツ初となるDセグメント車として1982年に発表されました
しかしここで一つの疑問が…
それは「Dセグメント」とは何ぞや??ということです
調べてみると…
Dセグメントは、いわゆる「ミドルセダン」と呼ばれる、大衆車に比較して高級感のあるセダンを指します
概ね、全長が約4600~4800mm、2~3Lのエンジンが搭載され、価格帯は300万円~600万円の車
ちなみに、Dセグメントの「セグメント」とは、主に欧州で利用されている乗用車をわかりやすく分類、ランク付けする概念のこと
A〜E、Fのアルファベットを用い、それぞれのセグメントで乗用車を分類します。
基本的にA〜Eの順にエンジンの排気量とボディサイズが大型化、高級化していき、Fセグメントは一線を画した超高級車です
ただし、概念であるので、明確な数値基準はありません
Dセグメントに分類される代表的な国産車は、「レクサス・IS」です
またドイツ御三家(ベンツ・BMW・アウディ)のDセグメント車は「プレミアムDセグメント」と分類され、「ベンツ・Cクラス」、「BMW・3シリーズ」、「アウディ A4」等がこれに相当します
俗に云う「プレミアム・セダン」というやつですね
メルセデス・ベンツは1982年に190Eをベンツ初となるDセグメント車として発表しました
実はそれまでメルセデス・ベンツの車種は、「Sクラス」「コンパクトクラス」「SLクラス」「600」の4車種とそのバリエーションのみというシンプルなラインナップでした
(コンパクトクラスといっても1980年以前のベンツ車の象徴、W123系を指しており、かなりの高級車です)
この割りきった車種構成は、メルセデス・ベンツ社の企業理念ともいえる「Das Beste oder nichts(最善か無か)」という思想に基づいていました
最善の自動車を作れないならば、いっそ何も作らない方が良いという徹底した設計思想です
安易に車種を増やすよりも、一車種に十分なコストをかけた開発が行われていたという訳です
事実、1980年代以前のメルセデス・ベンツは、消耗品さえ交換すれば、100万キロの耐久性があると謳われていました
私は大学生だった1990年代前半、頻繁に欧州や北アフリカを訪れていましたが、街中を走るタクシーのほとんどが古いメルセデス・ベンツだったのに驚いた記憶があります
1993年のスペイン留学時にもツール・ド・スペインで見かけてオフィシャルカーのほとんどがベンツでした
しかし時代の流れによるものか、ベンツもユーザーの多様なニーズに応えるべく、それまで車種ラインナップには存在しなかった、より小型の車種を製造販売することになります
それが、1982年に発表された190Eというわけです
190Eの車体は日本の5ナンバーサイズですが、上位モデル同様に質実剛健な設計がなされており、安全性能も見劣りしません
ベンツ190Eは、後継のCクラスが登場する1993年まで12年に渡って生産されました
190Eは、ドアセダンのみが生産され、現在のCクラスにあるような2ドアクーペ、ステーションワゴンは最後まで設定されませんでした
ちなみに「190E」というモデル名ですが、これは190E(W201型)の登場以前に最小モデルであったW123の200よりも小さいことを意味しています
W201(190E)のデザインは、ブルーノ・サッコによるもので、W126の印象を引き継ぐ四角いヘッドライトや横長で凹凸が付けられたテールライトが印象的です
W126は当時のベンツを代表する高級車でしたね
「小ベンツ」「カローラベンツ」と揶揄されたが…
輸入が始まった1985年当時、日本はバブル期にあり、ベンツ初のコンパクトセダンである190Eは大量に輸入販売されました
排気量によってはベンツ初の5ナンバーでもあり、無理をすれば何とか手の届くベンツ車として、若者にも人気を博し、街中で頻繁に見かけるという事態も生じました
そのため「小ベンツ(こべんつ)」「カローラベンツ」と揶揄されることもあったほどです
EクラスやSクラスが買えない人が無理して乗ってる車というイメージも何となくありましたね
190E (1985年~1993年)諸元
全長4,420mm、全幅1,680mm、車両重量1,180kg、直列4気筒SOHCエンジン、1,995cc
リマン190Eが熱いらしい…
190Eの最終年式は1993年ですから、生産終了から既に25年が経過しています
ところが2014年、メルセデス・ベンツ日本は93年式190Eをレストアした「リマン(リマニュファクチュアド)メルセデス・ベンツ」を発表しました
これは、走行約5万kmの190Eの各種部品300点を50時間かけて交換したうえで全塗装も行い、内外装ともに新車時に近い状態に戻したというものです
190Eをクラシックカーと呼ぶには語弊があるかもしれません
というのも、そもそもクラシックカーとは主には1925年から1942年にかけて製造された車のことを呼ぶ場合が多いからです
25年前のベンツ190Eは、本物のクラシックカーとは明らかに違います
それでも私のW205などの最近のメルセデスと比べれば、明らかにクラシックといえるでしょう
万が一、余裕ができたなら大人の道楽趣味として、この可憐で清楚な190Eを所有してみたいものです
最新と最初期のCクラスを二台所有するなんて、男の道楽趣味以外の何物でもありませんね(嫁は絶対許してくれないでしょうが…)